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【ビジネス】ジェンダーはビジネスの新教養である 炎上しない企業情報発信

2019年も大企業の炎上が止まらない!…のですが、この本読めば援助は回避できるんじゃないでしょうかね。だって全ての炎上は「人権意識の欠如」なんですもの。

 

必要なのは保険ではなくてコンサルでは?

企業の広告に対する拒絶反応が可視化されるようになっただけ

SNS全盛期の昨今、企業広告の炎上が発生している…と言う認識だったら、これからもどんどん炎上する広告を作ってしまうと思います。

炎上したときに備え、企業向け保険まで作られているそうですが、炎上している時点マイナスイメージを抱かれてしまっているので手遅れ。やらかす前に防げない企業の体質に問題があるのですから、まずは勉強するしかないのではないでしょうか。

 

「炎上」が起こる今の方が「正常」

広告炎上、今までは可視化されることなく顧客が離れていくor我慢して利用し続ける、しか選択肢がなかっただけではないでしょうか。

広告作成の過程でGOサインを出すおじさん達だけ気にしてればよかったものが、購買層も気にしないといけなくなったのが今ではないかと。今の方が正常だと思います。

 

広告にノーを言う必要性があるか?

私は絶対に必要があると断言します。

広告は社会的影響が大きいものですから、自然と責任も大きくなります。ちょっとした小道具やコピーでも気をつけないといけません。社会的影響の大きいものが差別に繋がるなにかを発信してはいけないからです。

 

よく「気に入らない広告があるならば黙って放っておけばいい。いちいち気にするなんてくだらない」という意見を聞きますが、その結果がこのザマです。

今の広告は『痩せろ脱毛しろ英語しゃべれるようになれモテないと人でない痩せないと人でない結婚はしろ子供を持ってしかし所帯染みた格好はするな美しいままでいろ』…のような脅迫に繋がることばかり。

そういう広告に囲まれていると気にしないようにしていても自尊心がガリガリ削られていきます。

 

2019年正月から炎上した西部そごう広告に対するクリエイターたちの反応を見て「あっクソだな」と思った話

2019年早々炎上した、女性の顔にクリームパイが投げられている広告について「西部は素晴らしい広告を出した、よくやった」と言っていた広告業界の人を何人か見ました。

その人たちは援助にびっくりして、色々言い訳をしていて、それを見て私は驚いていました。

どうやら広告業界の人は西部そごうの広告のことを「尖った広告だ!すごい!よくやった!」と思っていたらしいです。

女性に加害してる表現のどこが尖ってるんですかね。巷に溢れかえってるじゃないですかそんなの。

 

あとクリームパイは「膣内射精(レイプ)」のスラングでもあるのですが、それについては誰も反論をしませんでしたね。

こういう小道具による表現の事故を犯さないために広告代理店のクリエイターがいるはずなんですけれどね。

 

その人は「みんなうっすら広告が嫌いで、マスコミが嫌い…」と嘆いていました。

それを見てさらにびっくり!逆に聞きたい。

なぜ好かれてると思っていた??

 

広告はみんな嫌いで、マスコミは大嫌い、が大半だと思いますよ、正直なところ。

うっすら嫌い、どころではない。

まず、「みんな広告が嫌い」というところ。今までの広告がやってきたことの結果なのではないでしょうか。

 

ほとんどの広告が「意味なく若い女子が微笑みかけてる(歳とったら替えられる)」「これ買わないとあんた酷い目にあうよ脅迫」「邪魔」なんですもの。

そしてマスコミは広告という脅迫を繰り出してくるくせに、自分は憧れられていると驕っている。

「広告いいじゃない、最近の宮本浩二さんが出ている広告なんかかっこいいじゃない」も言っていましたが、それは宮本さんがかっこいいからなんじゃないでしょうかね。

そんな風に、人の褌で相撲を取っておいて、賞賛を浴びたら自分の手柄・批判されたら人のせいなところも、嫌われる要因なんじゃないですかね。

もうそろそろ、広告業界が素敵なものだっていう認識から変わりましょ。平成ももう終わるのですから。

 

 

 

 

【食器洗い乾燥機】タンク式食洗機「Jaime (ジェイム) 」

食器洗いを楽にしたいなら、買い。

工事不要・食洗機の中でも小型なので導入ハードルはかなり低めです。

 

導入してまだ日が浅いですが、簡単に使用感と感想を。

 

1.導入のハードルがとても低い!

届いてすぐコンセントをさせば使用可能。コンセントはアースに接続しないといけない仕様なので、購入前に確認必須です。

 

2.汚れはばっちり落ちる!感動!

試しに「カレールーのついたタッパー(ティッシュでちょっと拭ったもの)」で洗ってみたら、ばっちり汚れが落ちていました!

カレールーが綺麗に落ちるならほとんどの汚れは落ちるだろう…と大いなる信頼をよせることに。

しかし乾燥モードはあまり強くありません。が、終わったら扉を開けておけばいいので気にしません。

 

3.音は「ちょっとうるさいかなー」程度。しかし使用時間は短いので許容範囲内。

音は洗濯機と同じくらいです。しかし日常使いは「スピーディモード」で充分なので、35分ほどで終わるのであまり気になりません。

 

4.振動はほとんどなし!

うちはコンロを人工大理石で塞いだ上に食洗機を設置するため、揺れるかどうかがとても心配でしたが、振動はほとんどなかったので安心しました。これは結構気がかりだったポイントです。出かけている間に洗い上がるよう使用したいので。

 

5.入る量は多くないが、一度の食事に使う分は全部洗えるから良し

大きさは一般的な食洗機よりは小さめのため入る量は多くありませんが、一度に使う大人二人分のお皿やタッパー(お椀2つ、タッパー4つ、箸やおたま・ホットクックの混ぜ技ユニット、カップ二つ、哺乳瓶)はちゃんと入ったので問題なしです。

 

6.水の補給は今後面倒になるかも

Jaime (ジェイム) の一番のネック、それは水の補給。通常の食洗機はボタン一つで洗い上げまで完了してくれますが、ジェイムは使用する前には必ずタンクに水を6リットルほど入れないといけません。

入れ方は

・タンクを外して直接水を入れる

・タンクは外さず、付属のカップ(2L)で水を入れる

の二択です。

うちはスペースの関係でカップによる注入を行なっていますが、きっと面倒になるんだろうなぁ…

 

トータルでは「本当に買ってよかった」と思える満足度です。ご飯食べ終わったらお皿をティッシュで軽く拭いて食洗機に置いておき、溜まったら回せばいいなんて、楽チンすぎるじゃないの…

 

 

 

 

【2018.3.22追記】注水について

「タンクに注水するのが面倒」問題を、灯油を入れるのに使うポンプでちょっとだけ解決しました

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このように、ジェイムの上に水をいれた付属カップを置いてポンプで給水し、他の容器に入れておいた水を追加しています。

ジェイムの上は安定しているので手を添える必要がありません。1分ほどで注水できるので、付属カップに水をいれてタンクに注水を繰り返すよりは随分楽です。

シンクの蛇口にホースつけられたら一番楽なので、可能なご家庭であればそれがいいと思います。うちはダメでした…

 

ポンプはよく売ってる150円のものを購入しました。付属カップの大きさに合わせて管をカットしています。

 

ペコペット (1サイフォン式手動ポンプ) PH-10

ペコペット (1サイフォン式手動ポンプ) PH-10

 

 日々の献立について

今までは大きなお皿にワンプレートで食事を盛り付けていたのですが、大きなお皿がジェイム  に入らないので、食洗機可能な小柄の陶器皿に変更しました。

もともと料理をする時は多めに作り置きをしてタッパーに小分け保存していたのですが、こちらは大きめのタッパーでレンジ調理する方針に切り替えました。

食事の時は大きなタッパーから小柄の陶器皿に盛り付け、一気にレンジで加熱しています。

小皿や小鉢に色々盛り付けた食事は豊かな感じでお得な気持ちに。

我が家は茶色いおかずが多いので、アリタポーセリンラボの鮮やかな小皿を買いました。カラフルで美しい!

 

 

タッパー調理は定番のジップロックで、レシピは「つくりおき食堂まりえ」さんです。つくりおき食堂まりえさんのおかげでうちの食卓は超豊か&完全ツーオペとなりました。

 

ジップロック コンテナー 保存容器 正方形 1100ml 2個
 

 

 

忙しい人専用 「つくりおき食堂」の超簡単レシピ (扶桑社ムック)

忙しい人専用 「つくりおき食堂」の超簡単レシピ (扶桑社ムック)

 

 

 

【エッセイ】さらば、メルセデス

天罰がくだるのはこれからですよ

車売っただけであなたの禊が済むわけないじゃん

タイトルの「メルセデス」は高級車であるメルセデスベンツのこと。成功につれて車のランクが上がっていく、という意識が本当にバブルで、もはやダサい。

とんねるずは、フジテレビの「オールナイトフジ」に出てから気がついた新しいタイプのお笑いの2人組だった。

僕が放送作家の頃からの付き合いで、お互いに仕事がうまくいくようになってからは、「もうやること成すこと当たっちゃって!」と、軽口を叩きあっていた。

重い扉を開けて入って来た木梨が、「秋元さん。あんまり、忙しすぎて、自分を見失ってない?大丈夫?」と、真面目な顔をして訊く。

罐入りのウーロン茶を両手に持った石橋が、「でもさぁ、こういうのって、いつまでも続かないよね。怖いと思わない?いつか、天罰下るよね」本気とも冗談とも取れない口調で言う。

とんねるずは今まさに天罰(というのは大げさかもしれないけど)をくらってますね。

自分たちの絶頂期のときの感覚そのままで表現をして批判をくらって、なぜ批判されたのがわからないという。

 

 

こいつの罪は大きい

いちいち鼻につく「かっこいい俺」的な憐憫

とっくにマジョリティ側のくせに若者に寄り添って代弁しているつもりなのが厚かましい。

 そもそもなぜこの本を読んだかというと、毎週楽しみにしている「ポスト・サブカル焼け跡派」で、ラスボス的存在である秋元康が特集されていたからです。

この連載面白すぎるので書籍化はよ。

ポスト・サブカル焼け跡派(T.V.O.D.) | 百万年書房LIVE!

 

秋本は現代の遊郭の主

AKBをはじめとした大人数グループは、秋元康の繰り出す企画で大躍進しました。

そのほとんどは「女の子たちがものすごいプレッシャーで体力的にもメンタル的にも消耗していくことを楽しむ感動ポルノ」です。

売り物は彼女たちの(大人の不手際や用意した無理難題を乗り越える)姿であって、歌や踊りではありません。歌と踊りのレッスンをしてブロマイドを売りランキングをつけて一喜一憂させるのは、現代の遊郭です。
なんで秋元康は女の子たちに対して酷い仕打ちをしつづけているくせに無責任なんだろう?しかも先生面…と思ってたんですが、この本読んでわかりました。

秋元康にとって女の子は、女の子は人間ではなく眼差すためだけのモノなんですね。男子校に通っていた高校生の時から感覚がアップデートされていないんです。

いまだに男子高校生の「あの子に憧れる僕」という自己陶酔を若い女の子たちに歌わせて搾取しているわけですが、規模が大きくなりすぎてて弊害がすごい。

そもそも放送作家になるきっかけとなった原稿が「ナオン、少女のあえぎ声、処女無情の響きあり」で始まる平家物語パロディですからね、高校生の時から、感覚がほんとにオッサン。

 

NGTで起こった事件を謝るどころか運営を叱ったと他人事。事件か起こったときの支配人は表にでずに新支配人は女性にさせてすべてを押し付ける…そんなところは日本の「上の立場に行けば行くほど責任を取らなくなる」の典型だなと思ってます。

 

 

([あ]3-1)さらば、メルセデス (ポプラ文庫)

([あ]3-1)さらば、メルセデス (ポプラ文庫)

 

 

あとこれは完全にいちゃもんなんですが、この本は余白と改行多すぎで「そういうところだぞ」となりました。

一般的な本のレイアウトにしたら、ページ数半分くらいになりそう。

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35m/mの原稿用紙。

35m/mの原稿用紙。

 

「 35mmの原稿用紙」は当時アイドル(男女問わず)について語っているものですが「僕はファンになってしまった」って何回言うんかい、と突っ込みながら読みました。作詞家のわりに語彙が豊かではない…

 

【コミックエッセイ】キレる私をやめたい

100%正しい人も、100%間違ってる人もいないのだから、互いに考えて話し合って生きていきましょうよ

おとぎ話は結婚でハッピーエンドだけど、人生は結婚後も続きます

作者の田房永子さんは前作「母がしんどい」で、親の毒をたっぷり受けて育った後モラハラ彼氏にバカにされながらも自活する力を身につけ、本当に好きな伴侶に出会って結婚したという話を描写していました。まさにハッピーエンド!素晴らしい!…で終わるわけはなかった!

 

「あなたはおかしい!正しいのは私!」と言われ続けると、そう言わない相手にも「私が完全に悪い」という態度になってしまう

田房さんは母親にもモラハラ元彼にも「お前はダメだ、おかしい」と言われ続け、迷いながらも自分の道を見つけて独り立ちした方(それは本当に素晴らしい!)

でも、後遺症はしっかり残っていて、大好きな伴侶との生活にも支障が出ていた…というのが今作「キレる私をやめたい」です。

 

伴侶の言動に対して必要以上に怒りを感じてしまい、うまく思考ができなくなり言葉にできず相手を殴ってしまう…これ、恥ずかしながら私も前の結婚生活で経験があります。

なぜ殴ってしまうかというと「自分がダメダメだから悪い」「でも相手のことがすごくムカつく」が混在して、納得できておらず、相手に対する攻撃が直接的になるから。

 

自分はダメダメで相手は完璧、と言う図式を解消しないと相手もつらい

お前はダメだクズだと言われ続けると、「私はダメだクズだ」と内面化します。若い頃は特に、素直に受け取ってしまうもの。

そして内面化した「自分はダメでクズ」は、出会う人に対しては「あなたは私と比較して素晴らしい、完璧だ」に転換しがち。そう転換しないと「自分はダメでクズ」は成り立たなくなるからです。

 

神格化された方も辛い、完璧に振る舞わないといけないから

この本を読んでいてなによりも思いを馳せたのは「私はできないけどあなたはできる、完璧、素晴らしい」と思われることのプレッシャーです。

求められれば応えたくなります、好きな人相手なら当然です。

田房さんの場合は「片付けられないダメダメな自分」と「片付けられる完璧な伴侶」という片に互いをはめ込んでいた過去が象徴的でした。

だからこそ、田房さんが「お互い歩み寄っていこうよ」と言い、伴侶が「自分もダメなんだな〜」と話し合うシーンでは涙がこぼれました。

今の結婚生活では私も似た感じで「片付けられる連れ合い」を神格化しがちなので、気をつけます…。

 

前作「母がしんどい」の感想はこちら

【漫画】凪のお暇(5巻)

ゴンさんかわいい、影薄いけどかわいい

あんなに凪を振り回してたのに出番少なくなってちょっと気の毒だけどかわいい…

 

しかし今回の語るべきキャラはこちら!

才色兼備の市川さんについて

この5巻では市川さんという、才色兼備の女性キャラクターの内面が掘り下げられます。

市川さんは飛び抜けて美しい容姿だけではなく、努力家で、仕事の能力も持ち合わせている完璧キャラです。

しかしその完璧さゆえに、上司や取引先の男性から過剰な(時にはセクハラな)賛辞を受け、それを見た周りから妬まれ敵視される不遇な境遇。

わかる感じとムカつく感じが混ざり合って、見ていてつらい!!!

慎二くらい秀でていることに開き直って堂々とできていたらまだ違ったのかもしれませんが、まだ25歳では周りに気を取られて疲労してしまうのも無理はないですね。

大いなる力はそれを使いこなす技量がないと、不幸になりやすいという、わかりやすい事例です。

 

なぜ「わかるけどムカつく」かというと、ブス扱いはもっと悲惨だからです!!!

妬まれた美人は排除されるだけで済みますが(そしてわりとすぐ次のコミュニティに入りやすい)、ブスは排除されない代わりに粗末な扱いを永遠に受け続け、尊厳を無限に削られる地獄に落とされます。自力で抜け出さなければ死ぬ。

 

でもそんな地獄を作り出してるのは美人ではなく、「自分はジャッジする側だ」と高みの見物してるおっさんどもだから、一緒にぶっ壊していきましょうね…

 

容姿は能力値に対して、瞬間的にブーストがかかる

市川さんの苦悩の内約は、何か成果をあげても「容姿のおかげ」で努力が透明化され、自分の内面を見てもらえないこと。

彼女はすごくレベルが高くて自分が普通かちょい下になる場所(エリートが集まるところ)にいくか、容姿がいいことが前提になっている芸能界にでも行った方が楽そうだなと思います。

あと生きてきた間ずっと美人枠だと、そこから外れた時にブーストかからなくて戸惑っちゃうこともありますからね…そこで自分の実力が容姿でかさ上げされてることに気づいたり気づかなかったりして、それはそれで辛そうなものです。

 

ルッキズムは性欲よりも強い本能である

どうやら見た目で判断するのは本能である模様。

最後6ヶ月の赤子ですら、テレビで女子アナが映るとニコニコします。

また、可愛い女性に遭遇すると大喜びする赤子を見ていると、「見た目がいい人がいいと判断するのは本能なんだな…」と思い知らされる昨今。

 

見た目をよくするための啓蒙や商品は溢れかえっていますが、見た目に対する認識に関してはなんの教育もありません。

「見た目が良い」というのは「走るのが早い」みたいな才能の一つであるということはさっさと一般化していきたいところです。

それは教育でなんとかなるのではないか。

トイレだって教育で行くようになるわけだし。

 

とりあえず私は赤子ウケするようにヘアケアと筋トレに精を出します。

 

 

凪のお暇 5 (A.L.C. DX)

凪のお暇 5 (A.L.C. DX)

 

 

今までの感想はこちら

 

【小説】母性

母親に母性が備わってるなんて嘘ですよ

産院に置くには刺激が強すぎる作品なんでないかしら??

この本を知ったのは出産直後。子供を産んだ病院に置いてありました。誰だチョイスした奴は。

 

母性 (新潮文庫)

母性 (新潮文庫)

 

 

 

※ネタバレしてます。

信用できない語り手・母親と、反転させる娘

この物語は「母親」と「娘」と「正体を明かされない誰か」の主観によって進められます。

その母親が自分の言うことやってきたこと全部美化しまくってて全然信用ならねぇ。

この母親、とにかく言いたいことはひとつ。

「私は悪くない」

そう主張する奴が善良だった試しなんてないもんですよ。

母親視点の独白の後に娘の回想が被さる構成なのですが、これがもうつらい!

母親は「娘を抱きしめた」と供述してるけど、娘の回想では「母親に首を絞められた」という真実が明かされる。

「ミステリという勿れ」の台詞【真実は人の数だけある・事実は一つしかない】を連想します。

母性ってなんだよ?

この作品でははっきりと「母性とはなにか」の結論を出していて、それには本気で同意しました。

 

親からの無償の愛なんて無いよ

また育児の話になりますが、子供を産んで半年。今でこそ赤子死ぬほど可愛いと思いますけど、産んで2・3ヶ月くらいは全然可愛いと思えませんでした。産んで3週間目のくらいのころ、半日泣かれまくった時には赤子を投げ捨てたくなりましたからね…その節は本当に申し訳ありませんでした…

 

無償の愛は、子供から親に注がれている

じゃあ無償の愛はないかというとそんなことはまったくなくて、子供からの無償の愛はすごく感じるし見聞きします。

子供は親を簡単に見捨てません。

同格同士なら簡単に見捨てられますが、子供が親を見捨てるにはものすごいコストがかかります。

本来守られ保護される立場である子供に気を使わせるのは本当に嫌です。

 

昔から「母であること」だけがアイデンティティな人間になることだけはごめんだと思っていました。

子供はいずれ大人になって親から離れるのに、母であることを手放したら何も残らなくなるなんて恐ろしすぎます。

でも自分を喪失しそうなとき、私は強く子供を残すことを望みました。

そのときに子供を授からなくて本当によかったと、心底思います。

そのときに妊娠出産していたとしたら…私は子供を使って叶わなかった夢を叶えようとしていたでしょう。完全に虐待です、それは。

阻止できて、幸運でした。

【児童文学】太陽の子

これ今の政治家全員読み返すべきでは?

連れ合い「人の心の奥にある怒りや悲しみ、寂しさや恐怖を丁寧に書いてるんだよ。丁寧に書きすぎなんだけど」

連れ合いイチオシの児童文学作家・灰谷健次郎さん。

勧められるがままに読んだ『兎の眼』で「すげえこと書く人もいたもんだな…子供向けで…」とびびったけど、あれはまだ本気じゃなかった。

これ買って安倍晋三の事務所に送ろうかな。

 

以下ネタバレなので注意。

 

日本は沖縄にどんな仕打ちをしたか?勝手に過去のものとしていないか

「いいか、この手をよく見なさい。見えないこの手をよく見なさい。この手で場所が生まれたばかりの我が子を殺した。赤ん坊の泣き声が敵に漏れたら全滅だ、おまえの子どもを始末しなさい、それがみんなのためだ、国のためだー明日朝守りに来た兵隊がいったんだ。

沖縄の子供たちを守りに来た兵隊はそういったんだ。みんな死んで、その兵隊が生き残った。」

「法の前に沖縄もクソもないとあんたは言った。そのことを心から望んでいるのが沖縄の人間だとしたら、あんたがたは何と言うだろう。

失業率は全国最高、高校修学率は全国最低だけれど、あなた方はそのために何かやったかね。

今6ヶ月の赤子を育児中ですが、赤子、常に笑ってるんですよ。私や連れ合いを見るとすごく嬉しそうに笑ってくれるんです。転がすだけで楽しそうな声を出します。

そんな子供を殺せと言われたら?お前の手で始末しろ、それがお国のためだと言われたら?やるしかないという状況に追い込まれたら。

別に自分の意思で戦争を始めたわけでもないのに。

想像するだけで気が狂いそうになりますが、実際やらせてきたことなんです。

その事実は、忘れてはいけない。

 

「知らなくてはならないことを、知らないで過ごしてしまうような勇気はない人間に、私はなりたくありません。」

戦争の傷がかなり見えなくなってきた時代の話…だけど、傷は見えにくくなってきただけ。

沖縄の人はなぜ本土に来なければならなかったのか?生まれ故郷で生活することがなぜできなくなったのか?

「太陽の子」発表は1978年。そこから40年経った今でも、まだ日本人は沖縄に戦争の傷跡を押し付けている…だけでは飽き足らない暴走をしつつある。灰谷健次郎さんが在命だったら、今の世の中について何と言っただろうか。

嘆いてくれるだろうか、怒ってくれるだろうか。

 

死んだ人の命を、今、もらって君たちは生きているんだ。

君たちのおとうさんおかあさん、あるいはおじいさんおばあさんが、こんな目に遭ってきたんだ。遠い昔のことじゃない。第二次世界大戦ポツダム宣言ー重三菱ときちんと結べて百点満点の答案用紙をもらっても、君たちのおとうさんおかあさん、おじいさんおばあさんの苦しみが分からなければ、何もならないじゃないか。死んだ人の命を、今、もらって君たちは生きているんだ。死んだ人が、何をいたかったのか、もし、君達子の声を聞く耳がなかったら、死んだ人は犬死にじゃないか」

梶山先生は生徒をえこひいきしていること・問題のない生徒にはあまり構っていないと批判する手紙を生徒から受け取って、それをきちんと読んで真摯に受け止めている。

「兔の瞳」には灰谷健次郎が理想と考える教師が出てきたけれど、今作「太陽の子」にも出ている。

灰谷健次郎はもともと教師をやっていたからか、リアリティーがものすごい。

でもここまで真剣にすべての生徒と向き合うって正直無理なのではないかしら…生徒全員の心を全て全部受け止めて向かい合うなんて、限界がすぐきて壊れてしまうだろうな…ニュータイプとして覚醒したカミーユ・ビダンみたいに…ふうちゃんのおとうさんは悲しみを受け止めすぎて壊れてしまった人だしなぁ…

 

絶望の果てに書き上げられたはずなのに、陽だまりのように明るい文体

絶望を嫌という程味わった後、それでも希望を持って生きようとする人たちを描く文体は、明るい。カラリと晴れた空気を纏っているのに、核には悲しさや怒りを孕んでいる。

「生きている人だけの世の中じゃないよ。生きている人の中に死んだ人も一緒に生きているから、人間は優しい気持ちを持つことができるのよ」

 

子供に読んでほしい?と連れ合いに聞かれて

ラスト5分の1はタオルを涙と鼻水で鳴らしながら読破。横で覗いていた連れ合いもすすり泣き。

偉い人と言うのは、偉い政治家や、優れた仕事をした芸術家や学者や、名の残るような実業家というような人たちを思っていました。今私は人間が偉いと言う事はそんなことではないと思い始めています。とても大きな問題なのでうまく言えませんけど、どんなに辛い時でもどんなに絶望的な時でも、本気で人を愛することのできる人が偉い人だと思うのです。

読み終わった後「これは赤子に将来読ませるべきだと思う?」と聞かれました。もちろん読んでほしいです。私は連れ合いと子供と幸せに暮らしているけど、その幸せは沢山の死体の上に成り立っていることを無視してはいけないことくらい、わかってるんだよ。

 

太陽の子 (角川文庫)

太陽の子 (角川文庫)

 

 兎の眼の感想はこちら