きた みた よんだ

みたりよんだりしたものを記録するブログ

【映画】クラウド・アトラス

奏で繋がる物語

扉を開ければ次の世界が待っている

映画で交響曲をやるとこうなるのか…!

 

これも革命の物語

一つ一つのストーリーが細切れになり、繋がる、気になるところで別のストーリーになるので終始ハラハラしながら観れる!

 

「あれ、一人二役?」と思ったら最大6役!女装も多くて全然気づかなかった。ハリウッドのメイクはすごい。

誰が何役やったかのネタばらしのエンドロールは前のめりで見ました。こんなのわかるわけないよ!

 

あと良いボブ娘映画でもあります。

ペ・ドゥナ死ぬほど可愛いな〜

ウィショー美しいよウィショー!

 

レビュー読んだらいろんな方が指摘してるけど、手塚治虫火の鳥っぽい。冒険、反逆、革命、望郷。

 何度も観たくなる傑作でした。

3時間という長丁場な映画だけど、二回目以降の方が短かく感じそう!

2回目以降は短く感じる映画は傑作の条件です

 

 

 

【映画】ターミナル

ターミナルで生き抜く100の方法

1に稼ぐ!

2に語学習得!

3に人をたらす!!

 

これ一時期レンタル屋さんでジャケをよく見てたんですけど、完全に感動モノだと思ってたんですよ。

「ターミナルに毎日通い最愛の人を待ち続けるが、今日も現れない…」みたいな。

でも今回観てみるとコメディでびっくり。そもそもなんでそんな勘違いしていたのか(多分キャッチコピーかなにかのせい)

 

フライト中に故郷の国がなくなってしまったためパスポートが無効になり、空港から出ることができなくなってしまった人のお話。

自国で紛争が起こってるのに出国できるというのは、お金持ちで頭のいい人だということではあるんだなー

 

英語がほとんど理解できないのに空港に閉じ込められてしまうなんて、安全がなくなるとストレスで死ぬ私としては想像するだけで息切れ動悸が酷くなる。

けど、主人公は賢く柔軟性があり、何より諦めなかったので、空港で生き延びる所か超楽しそう。生きる力半端ない。そこは見習っていきたい。あと語学習得本当に大事ね…

 

「こんなことが起こる可能性もあるのね」と笑っていたけど、今トランプ大統領がシリア難民受け入れ拒否に署名をしたので、大量に空港で足止めされている難民がいるとのこと。

事実は小説より奇なりだし、現実は何かと笑えない…

 

 

ターミナル (字幕版)

ターミナル (字幕版)

 

 

 

【映画】君に読む物語

これは君を呼ぶ物語

読んで、私を呼んで。

 

※だいぶネタバレします

 

まずおばあちゃんとおじいちゃんの組み合わせにうるっとくるし、認知症だと気付いた時点で号泣する。認知症とか加齢による体の衰えとか、そういうネタにはすこぶる弱い。

永遠に続くことを望むような煌めく時間は、過ぎて古くなるからこそ美しい。

 

「何を選んでも後悔はするけど、やった後悔は消えるけどやらなかった後悔は未来を蝕むのよ」

これ座右の銘なんですけど、なにを選んだってほんのり後悔したり、あの時こうしてればあの日に戻れれば(@アジカン)とか思うんですよ。

ヒロインのお母様はほんのり後悔してる。

自分の選択が間違っていなかったと証明するために、貴族階級である娘を叱る。

「労働者階級との結婚はやめなさい。」

かつて恋した人が煤まみれになって働いているところを見せてまで。

 結果的にそれが娘を後押ししたように見えるのが皮肉だけれど。

 

この映画の主演はレイチェル・マクアダムス。「アバウト・ア・タイム」といい「きみがぼくを見つけた日」といい、肝が座りながらも可愛らしい妻の役柄が本当に上手い。

ハリウッド版シャーロックホームズのアイリーン役もやってたのね。あれも素敵だったな〜

 

 

きみに読む物語 スペシャル・プライス [Blu-ray]

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十代の時激しい恋をして強く求めあった労働者階級の彼と、優しく自分をもてなしてくれるスマートな貴族階級の彼。

どちらを選ぶ?と言われたら迷いなく貴族階級を選ぶわ。すまん。なんたって資本主義だからさ。

あのねどうして景気が悪いの?

資本主義はきっと恋愛よりも難しいのね

それでもあたしあなたのキッスで結局

Je t'aime  Je t'aime

でもお金がないの

ジャンニ・ヴェルサーチ暗殺』

SPANK HAPPY

【映画】グランド・ブタペスト・ホテル

お洒落でお茶目で仲良し!

こういうオシャレなのにボケを30秒から1分の間に笑う挙動を差し込んでくる群像劇大好き!!(スナッチとかコードネームuncleとか)

 でも最後にほろりと泣かされるのがもう、ずるい

 

センスのいい絵本みたいに落ち着いた印象だな」というのが第一印象。

シンメトリーな構図を徹底している上にカメラワークが超シンプルだから。

 

コミカルに、ちょっとお下品に喋るキャラクターをど真ん中で捉えて離さないカメラに軽やかに惹きつけられる快感。

繰り出される部屋の内装や小道具がどれもおしゃれで可愛い!

 

キャスト豪華すぎ!ジュード・ロウウィレム・デフォー(登場シーンのアップで爆笑)、エイドリアン・ブロディという、1人でも出演したら100点をつけてしまう俳優が3人も!

 

色々満点すぎて「大好きだぁ!! 」と聖司くん(@耳をすませば)ばりに叫びたくなるような映画でした。これは何度も観たい。

 

 

 

【エッセイ】叶恭子の知のジュエリー12ヶ月

ファビュラスな姉様による、シンプルで力強い格言集

知ったふり、わかったふりをするのではなく、知らないこと、わからないことがあれば恥ずかしがらずに率直に聞く。それが、エレガントということです。

 

自分が好きなこと、確信が持てることに従って生きる。それは、他人に媚びない生き方です。

世の中のすべてから愛されようといった虫のよいことは考えず、異端を恐れずに進む。

それがわたくしの原点です。

「 トリオリズム」でも力強く綴られた恭子様の哲学を端的に読みやすくまとめた一冊。

これ「よりみちパン!セ」シリーズなのね。ティーンエイジャー向けの本。

 

これは日本の女の子みんなに読んでほしいよ!

合間に12〜16歳の女の子からの質問と、それに対する恭子様の答えがあるんだけど、どれも返答が力強い。「わからないことは素直に質問する。相手への敬意や感謝の気持ちは忘れない。嫌だと思うことに無理に付き合わなくていい。周りにあわせて自分を歪める必要はない」と、はっきり言ってくれる大人ってほとんどいない。

例えば「自分の通う学校の制服が野暮ったくて、登校するのも嫌になってしまう」という子に対するお答えはこちら。

「学校に行く義務がある間は学校に行きましょう。あまりに辛くて体や心に支障が出るとか、制服の規則を変えるよう学校に働きかけたり、私服か校則が自由な学校に入学し直したりといった放送を持たないのであれば、ネガティヴなエネルギーを自分の中に溜め込むのはよしておきましょう。おしゃれへの関心があるなら帰宅後の私服に興味を注ぎ、センスを磨いていきましょう」

もうパーフェクトですよね…

 

これ2011年の本なんですが、「一緒にトイレに行ってくれる子がいない」という子と「日本に帰国して転校したら、友達とトイレに行かなければいけない習慣でつらい」って子がいて。

それに対して恭子様は「日本は女の子にとって生き辛すぎる」と言っていて、本当にその通りだと頷きました。

 

装丁がとても綺麗で豪華なのも恭子様らしくて素敵、と思ったら祖父江慎さんか!

一番衝撃だったのはこのフォントの「ど」f:id:ms_ms_ma:20161229235200j:image

一瞬「ご」と読んでしまう。恭子様フォント?

叶恭子の知のジュエリー12ヵ月 (よりみちパン!セ)

叶恭子の知のジュエリー12ヵ月 (よりみちパン!セ)

 

 

 

【エッセイ】トリオリズム

お姉様、ファビュラスです

あらゆる美とは、本能の持つ生命力が表出した姿だと、わたくしには思えます。

経験によれば、本能が皮膚を突き破ってさらけ出されている人間の姿を見た時、人は「あの人は輝いて生きている」というような気がするのです。

コミケに参戦するために人のアドバイスを聞いてきちんと実践したり、ジョジョの萌え語りをしてる叶姉妹ブログが可愛らしくて読んでみたら、いろいろぶっ飛びすぎな金持ち描写と

媚びず、驕らず、相手の喜ぶポイントを突き、自らに素直に快適に生きる真っ当な精神論とエロスが交差してて超面白かった。

恭子様はがっちりポリアモリーなのね。

 

恭子さんがお金持ちに自家用ジェットで島に招待された時、滑走路をピンクのバラで埋め尽くして待ってたとか、クリスマスツリーいっぱいに現金くくりつけてたとか、ぶっとびすぎてて読み進めるうちに

(^ω^)<あ、はい

と言ってしまうスケール感。ハーレクインも裸足で逃げ出す。

 

そんなド派手な金持ち描写に驚くけど、恭子様がやってることは「目の前の人を喜ばせることで自分も喜ぶ」という基本的なこと。

 

そのためには努力は惜しまないし、目の前の人が何を求め好むのかを瞬時に判断し答えを出す。そのコミュニケーション能力の高さ!

そして無邪気に喜ぶ様。

チャーミングすぎて、絶対会ったら好きになってしまうわこれ。

 

誰かより秀でた“異端“でありたいのであれば、孤独でいる覚悟が必要なのです。

孤独は悪いことじゃない。わたくしの知る限り、成功者はみんな孤独です。いまから孤独に耐えられないようでは、あなたはまったく成功できないでしょう、と、わたくしは彼のために言ってあげるのです。

孤独を見つめなければ成長はありませんよ、と。

(中略)

美香さんは「お姉様は異端なんです」と言います。美香さんのように、ウソも浮気もなく、ひとりのお相手との誠実なLOVEに生きたいという考えも、イノセントで素晴らしいものだと思います。ただ、わたくしにはできないだけなのです。

何より響いたのが、恭子様は自分が異端であることをきちんと承知しているということ。

相手に対して自分のスタンスをきちんと説明し(恋人といった関係性のラベリングはしない、複数愛する人を持つ、自分を楽しませるもてなしができないなら関係を切る、等)、自分の意思にそぐわなくなったら潔く切り捨てる。

 

日本では恭子様は「化物」「あんなの女じゃない」と後ろ指刺されまくってきたと思うんですよ。でも、恭子様はまったく気にしていない。己の信じる美しさを放ち、楽しんでいる。

 

そこに至るまでのバックボーンをものすごく知りたくなる一冊でした。

あっけらかんとしすぎてて、読んだら妙に元気になれるよ!

 

 

トリオリズム (小学館文庫)

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【追悼】雨宮まみさんについて(私を救ってくれた人)

雨宮まみさんを初めて知ったのはウェブ連載の「セックスをこじらせて」

私が抱えていた言葉にできない女としてのコンプレックスや仕事に対してのコンプレックスを言葉にしてくれていて、衝撃を受けた。

何度も読み返し、友人にも勧めまくった。

 

ブログ「弟よ!」も大好きで、更新のたびに読んで、記事によっては泣いていた。

NANA」に関する書評は本当に大好きで、今でもたまに検索して読む。

http://d.hatena.ne.jp/mamiamamiya/touch/20061221

引用:私はこの物語は「奈々」が、自分の中の「ナナ」を諦めて殺していく物語のように読める。一人の女である「奈々」が、自分の中のフレッシュな感情や希望(夢を実現させたい。男と純愛を貫きたい、真剣で誠実な、かけがえのない関係を築きたい、汚れずに生きていきたい)を、あきらめて殺していく物語に読める。そして代わりに奈々は子供を産むわけだ。

この鋭くも優しい視点。脳天に雷と優しい抱擁を一気に食らった気分になった。

当時は(今もかもしれないが)奈々とNANAのことを「バカ女とバカの集団が自業自得でダメになっていく漫画」みたいな批評ばかりで、特に「女が不幸になるのは自業自得だから」という言葉に対するカウンターは皆無だった。

「女であることを武器にして、ゆるふわにモテてキラキラ楽しく生きてる女以外は女じゃない」そんな風潮が強かった。

 

そこで「女であることのコンプレックス」をきちんと言葉にして体を与えてくれたのが、雨宮まみさんだった。

 

私も雨宮まみさんと同じで、大学から東京に来た地方出身者だ。

しかも中高女子校出身なため、容姿や女性性に関するコンプレックスを刺激されることに慣れておらず、東京で暮らし始めた最初の数年は自尊心を傷つけられてばかり。「NO」を言えずビクビクオドオドしている卑屈な人間だった。

 

大学卒業と同時に結婚すると告げた内定先にパワハラを受けて内定辞退させられ鬱になり、モラハラ夫に抑圧されて生活していた私は、雨宮まみさんのブログやナツさんのブログでフェミニズムを知り、Twitterで深堀し、東京で初めて自分の足で立つことができた。

フェミニズムを知らなかったらと思うとゾッとする。モラハラ夫の子供を産み「強くてニューゲーム」をする母になっていたかもしれない。

プレイヤーは私、使用キャラは子供。

 

今の私は東京で生きると決めている。好きなものを買い、好きに装い、好きに発言する楽しさを最近やっと知った。雨宮まみさんの助けがなかったら、そこにたどり着けなかったかもしれない。

 

雨宮まみさんはあれよあれよという間に「女子をこじらせて」を出版し、「こじらせ女子」という言葉が一般化した。

雨宮まみさんも顔出しで仕事をされるようになり、どんどん美しくなって、写真を見るたびに素敵になっていた。

 

連載が更新されるたびに喜んで読んでいた。特に愚痴を聞く連載が大好きで、雨宮まみさんに対して失礼な言葉が入っている愚痴にも寄り添い、暖かく包み込み、優しく背中を押す回答を毎回読んではじんわりと泣いていた。

 

まじめに生きるって損ですか?

まじめに生きるって損ですか?

 

 

 

なのに今、雨宮まみさんが亡くなったことを受け入れられず、涙が出ない。

 

雨宮まみさんの訃報によって、書籍がまた売れているという。その売り上げでまみさんはどんな買い物をするのか、知りたかった。

 

ヒラリーが大統領選に負けて「ガラスの天井は破れなかったが、後の誰かが破ってくれるだろう」と言い、脅さず優しく背中を押してくれる文章をいつも書いてくれていた雨宮まみさんが亡くなり、女性を脅して説教するCMやキャンペーンや政策は溢れてる。

 

女子に対して脅さず説教せず寄り添って、楽しく自由で好きな方向へ進めるように優しく後押ししてくれる文章を書き続ける人だったから、雨宮まみさんがいなくなって日本の女子はまた厳しくなってしまった。


呆然としている。

 

ご冥福をお祈りいたします。