きた みた よんだ

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【小説】カモられ女の一生、な本2冊

殺人鬼フジコの衝動 (徳間文庫)

殺人鬼フジコの衝動 (徳間文庫)

カモられ女の一生その1。
フジコは徹頭徹尾問題を見て見ぬ振りして先送り→爆発して殺人、というどうしようもなさすぎる反面教師。

紙の月 (ハルキ文庫)

紙の月 (ハルキ文庫)

カモられ女の一生その2。
登場人物全員が、NOを言わない。服従し、ツケを見て見ぬ振りする。
遠回しに「誰のおかげで食えてると思ってるんだ」と攻撃する夫は、はっきりと「稼いでいる俺をもっと褒めろ」と言わない。
遠回しな攻撃に気づいてる主人公は、夫がメインで稼いでいるのは当たり前だし感謝しているのに、その気持ちをはっきり言わない。
溜まったストレスを、散財で発散。
二人とも、自分の気持ちにも相手の気持ちにも向き合わず、単身赴任や仕事で問題を先送りし、どんどん事態は悪化していく。

傷つけたくない、傷つきたくない。そして皆傷つく。


手っ取り早く自己受容をすすめるにには「愛されたい、よく見られたい」と思う存在に「NO」を言うべし

断るのも断られるのも、傷つく。好きな人、愛して欲しい人ならなおさら。でも怖いからといって問題から逃げていたら、どんどん悪化する。
問題解決や事態の好転には必ず痛みが伴うけど、その痛みは対処するタイミングによって最小に抑えることができる。

そして、問題から逃げ続けるよりも、真に向き合って正面突破したほうが時間も痛みも少なくて済む。

そういう意味では、ラストシーンで小さいながらも、サブキャラクターが自分の娘(媚びたい相手ゆえにいいなりになり、カモにされていた)に対して「NO」を言う描写がある。これは、希望だ。