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【漫画】Paradise kiss

自信とは、己の足で地を踏み、己の手で掴むものだ

※若干ネタバレします

NANAは途中までしか読んでないけど、矢沢あい先生は「自信を持った人」「自信を持たない人」を題材にしたストーリーを編み上げている人なのかもしれない。

ジョージの言い分は矛盾しない

ジョージは紫に対して「おまえが好きだ」と「おれは自分の意思がなくて自信がない女は嫌いだ」という。
ジョージが紫に惚れた要素は「自分の理想通りの容姿」であり、内面ではない。
それに対して紫は「ジョージは私みたいな女は嫌いだって」と泣く。
問題点をごちゃまぜにし、自分が短絡的に出した歪んだ認知と解釈で落ち込むようなところがさらに嫌われる。
けど、高校生だしそこはしょうがないわな(そのあたりに口出しするのは野暮でしかないけど)

「自信がない女は嫌い」という高校生って…とも思ったけど、ジョージの場合唯一身近にいる母親が自信のない女で、ジョージは母親の自信がないところを嫌悪してるからこその嗜好なんだろう。
その上で「やりたいことを自力でやっているが故の自信がある女だけど、自分にはなびかないところが好き」というあたり、ジョージも自信持ってる男ではないよね。


ジョージと紫が結ばれなかったのは、二人の賢明な判断の結果だ。あのままくっついていたら、紫はジョージに恋するあまり不安に苛まれて自信をつけるどころじゃないし、紫がジョージを追いかける→ジョージは重い女になっていく紫に幻滅していく、のループに入っていただろうから。


あと、嵐と実和子の関係は、完全にDV夫と、夫の機嫌を損ねないように行動してケアする女房のそれ。
自分が嫉妬するからという理由で実和子を束縛して、大切な男友達に会ったり話したりすると怒鳴ったり、実和子のものを壊したり、果ては関係の始まりはレイプって…

何より実和子は、嵐の機嫌が悪い時、平気で自分の身を差し出すんですよ。

ぞっとしないでいられるか!

この漫画、ケア要員がほんとに出来すぎてて、しわ寄せが偏りまくってるところが辛くなるなー

1番素敵だと思ったシーンはラスト。
紫と婚約者が、過去好きだった人について笑いながら話すところ。恋愛を経てきた相手を受容し合っている大人のシーン。
これが自信を身につけた大人ですよ。

Paradise kiss 全5巻 完結セット (Feelコミックス)

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