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【小説】だから荒野

幸福な家庭はどれも似たものだが、不幸な家庭はいずれもそれぞれに不幸なものである。

これは「アンナ・カレーニナ」の冒頭ですが。

不幸な家庭のお話。不幸な家庭になるっていうのも、幸福な家庭になるのと同じ位ワンパターンです実は。

この小説読んだら「幸せな家庭は、この家族と逆のことを心がけて毎日過ごせばいいんだな」とわかります。

 

今赤子を育てているので、この家族のような感じになってしまったら辛いだろうというのがビシバシ伝わってきました。

今は、夜中に赤子に授乳するために起き、寝不足や腰・膝を痛めながら世話してるんですが、それでも超可愛いし、その可愛さを周りと共有できてるからすごく充実してて幸せ。

こちらが構ったらにっこり笑う、まさに天使!そんな子が、口を開いたら「うぜー死ね」と言ってくるネットゲーム中毒になったら…想像するだけで泣けてくる。虚しさで。

 

桐野夏生先生はフェミニズムに触れるきっかけを作ってくれた人で、「こーゆーのって不条理なんだ、不当な扱いをされているんだ」って怒っていいんだということを教えてくれた人です。

桐野夏生先生の描く主人公は大体怒っている。でもその怒りに気づいていない。溜め込んだ怒りはある日パチンと弾け、そのはずみで日常から飛び出す。ふらふらウロウロして危なっかしいけど歩いてよろけてこけて…その先には案外希望が待っている。それが清々しくて、生きる活力をもらえます。

 

だから荒野 (文春文庫)

だから荒野 (文春文庫)