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【デザイン】UXデザイン入門

ユーザーが求める情報を、ユーザーが自発的に取得できるよう設計するのがUXデザイン

ユーザーは自分のゴールを達成したいだけ

ユーザーは自らが思い描く「脳内モデル」をかなえてくれる設計を求めている。
開発者が好んで行う「実装モデル」(製品の設計に基づいた動きや説明・操作方法)には興味がない。

ユーザーエクスペリエンス(UX)の定義

製品・サービス・環境との対話操作の結果による、あるいはそれによって予期される、ユーザーの感動、新年、好み、振る舞い、成果のすべて(ISO 9241-210:2010ユーザーエクスペリエンスの定義)
人間中心設計が行われる。

UXデザインの設計がうまくいった時のメリット

1.ユーザーの生産性の向上
同一のタスクをより短い時間で処理できるようになるため、時間当たりの生産性が向上。
仕様人数が多いほど効果が顕著になる。

2.トレーニング・サポート費用の削減
ユーザーは混乱なく使用できるため、トレーニングのためのコンテンツやスタッフ・サポートのコストが削減できる。



UXデザインのプロセス

1.デザイン調査
既存のインターフェイスユーザビリティを向上させるために行うものではなく「ペルソナ・シナリオ」を作成するために行うプロセス。
既存のコンセプトを超えて「新しいコンセプト=理想的なインターフェイス」をユーザーに提供することを考える。
ターゲットは「ユーザー」
訴えかけたいユーザーの振る舞いやゴールを理解するために、ユーザーを観察する。
どのようなユーザー・分野を調査すべきかが重要。
類似の製品・サービスのユーザーでも、ゴールは同一だが類似の製品・サービスを使っていないユーザーでもOK。
マーケティング調査の定量的なセグメント化から調査対象を選ぶこともできる。

・どんなユーザーが(Who)
・どのような状況で(Where When)
・どのような目的を達成しようとしているのか(What)
・(既存のツールが存在している場合は)どのように利用しているのか(How)
・(その根底に潜む顕在的・潜在的なユーザーニーズを明らかにするためには)それはなぜか(Why)
を引き出す。

本当にユーザーであるかどうかも調べる必要がある(夫の代理購買を行う妻、など)



2.ユーザーモデリング
デザイン調査の結果から「ペルソナ」と「シナリオ」を作成。
ペルソナの目的は「想定ユーザー(よく使っているモール、行動パターン、嗜好パターンなど)を関係者が共有可能にする」こと。
シナリオの目的は「調査データの文脈を維持する」こと。ユーザーの混乱や戸惑いも明記すること。
いずれも開発者に都合のいいものにしてはいけない。

ペルソナの作成方法
・地理的変数:居住地、気候など
・人口動態変数:年齢、性別、職業、家族構成、所得など
心理的変数:価値観、ライフスタイルなど
・行動変数:インターネットの利用頻度、Webサイトに求める機能など

これらの変数をセグメントしてマッピングを行い、共通性を探しパターン化。
見つけ出すことができたパターンの数が、構築すべきユーザーモデルの数、つまり生み出すべきペルソナの人数となる。

シナリオの作成方法
作成したペルソナを主人公とした行動シナリオを記述する。調査データをゆがめない情報なら付与してもよい。
例:鈴木優子(ペルソナ名)は友達と海外旅行に行くことになったため、デジカメを購入することにした。軽くて持ち歩きやすいカメラが良いと思ったため、コンパクトデジカメの商品写真を見て絞り込んでいった。

ペルソナには優先順位をつけ、どのペルソナのためにデザインするかを決める。
(全ての人間の要求をかなえようとすると、誰も満足しないものになってしまうため)

主役ペルソナと脇役ペルソナ
メインで使用する主役ペルソナを一人、主役ペルソナとは多少異なる要求を持つ脇役ペルソナを用意する。
例:家族でレジャーに出かける車を探す父親と、それを使って子供の送迎を行う母親

黒衣ペルソナ
ターゲットとならない層のこと。主役ペルソナたちの比較が明確になる。
例:高齢者向けにデザインされたかんたんケータイに対し、先進的な機能満載のスマホを好む若者は黒衣ペルソナとなる



3.ストーリーボード
シナリオにあった混乱やとまどいをなくし、ユーザーの脳内モデルに沿ってゴールを達成するステップをストーリーボードとして表現。プロットを作成し、絵コンテ、漫画で描く。
デザインコンセプト・デザイン目標を決定することが目的。

魔法のふりをする
この段階では現存する機能については視野に入れず、記述もわざと曖昧にする。
※ユーザー視点による一人称で描くこと。裏側の仕組みや実行されているプログラムなどの記述は不要


システムの二つの理想形、どちらが主役ペルソナに合っているかを考えながらストーリーを作成する
「秘書型システム」
ユーザーが自分の要求を自分の言葉で述べるだけでその要求をかなえてくれるもの。
iOSのSiriが該当する。

「道具型システム」
ユーザーが自分の要求を、道具を使うことによって達成するというもの。

紙を切るという作業の場合、機械や誰かに紙を切ることを指示する場合が「秘書型システム」
自らハサミやカッターを用いて切る場合が「道具型システム」



4.スケッチとプロトタイプの作成
ユーザーの脳内モデルとゴール到達をかなえる情報デザインやUIデザイン、インタラクションデザイン(画面の遷移や個々のUI要素の操作方法)を作成。

スケッチの目的→サイズ、形、主要部品間の関連性に注力し、より多くのアイデアを素早く数多く具体化する。
その中からよりよいものを選択する。ここでたくさん失敗することで、開発終了間際で設計変更のような高価な失敗を防ぐことができる。

プロトタイプ→プレゼンテーションのために作成するダミー



5.ナビゲーションマップを作製
スケッチに、主役ペルソナのほかのストーリーや脇役ペルソナの要求を追加する。
ペルソナやストーリーごとに別の画面やUIが必ずしも必要というわけではなく、適宜判断する。

別画面を検討したほうがいいケース
・一つの画面では複雑すぎる場合
・一つの画面の役割が不明確になる場合
・何が重要なストーリーかが伝わりづらい場合

1つの画面への統合を検討するケース
・導線が複雑すぎる場合
・関連性が高いストーリーが別々の画面でサポートされている場合
・同時に使用する可能性が高い機能が複数の画面に分散している場合
例:購入した商品の「配送日の変更」と「商品購入キャンセル」
・似たような情報や機能を表示している画面が複数存在している場合


6.インタラクションとUIのデザイン

シュナイダーマンのUIデザインにおける8つの黄金律
1. 一貫性を保つよう努めよう
2. お得意様のユーザが、ショートカットを使えるようにしよう
3. 有益なフィードバックを提供しよう
4. 完了感を与えるために対話をデザインしよう
5. 簡単なエラーを処理を提供しよう
6. 簡単にやり直しできるようにしよう
7. 内部の動きが把握できるようにしよう
8. 人間の短期記憶に負担を減らそう

7.ユーザビリティテスト
UXデザインにおける最適化のステップ。製品・サービスに焦点を当てたユーザー調査を行い、製品・サービスの不具合を見つけ、改善につなげる。
※デザイン調査とは違い、制作した商品の改善点を探るために行うプロセス。

テスト方法
1.ゴールと状況をユーザーに伝える。
ただ単にユーザーに「使ってみてください」と頼むわけではない。

例:
状況→「このサイトで15,000円以内の予算でデジカメを買おうとしています。また、手ぶれ防止機能の付いたデジカメが良いと考えています。」

ゴール→「希望の条件を満たすデジカメを探してください。」

この際に、目的の条件を満たすデジカメを探し出すことができない・見つけられたが途中で迷ったなどの問題が見受けられたときは、「なぜそのような問題が起こってしまったのか?」の原因を推察する。
また、ユーザーに「なぜ迷っていたのですか?」と質問を投げかけ、認知的なレベルの情報を引き出す。

ユーザーはペルソナに近い属性の人物が望ましいが、デザイン調査ほど厳密である必要はない。
被験者の人数は一般的には5名が最適といわれている。