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【ジェンダー】女ぎらい ニッポンのミソジニー

ただより高いものはない(性行為も)

この本の「東電OLとミソジニー」をかぶりつきで読みました。なぜなら私の一部を作ったと言っても過言ではない小説「グロテスク」桐野夏生著作が取り上げられていたから(「グロテスク」には、OLをモデルにしたキャラクターが登場します。)

 

その項で一番ハッとしたのは「売春の価格は、女が男に対してつけた値段である」という解釈です。

「東電OL症候群」で、佐野眞一は、A子さんが「0.2万円と言う非常に安い値段で買収していたこと」について、ある女性読者の「解釈」を紹介している。「A子さんの方が男の値段をつけているんだ」という見方である。

(中略)

自分を高く売る女は、自分を買う男の値打ちがその分だけ認めているのだし、自分を安く売る女は、男の値打ちをその程度のものだと考えているのだ。タダでだれとでもやる女は、自分の体を「どぶに捨てる」ような行為をすることで、男の性欲が「どぶに捨てる」ようなものであることを、自分の体で検証していることになる。

「あなたが2億払うなら考えてやってもいい」という女性に「自分にそんな価値があると思ってるのか」と揶揄する声に対して「それだけあなたが嫌だってこと」と言うのは非常に効果的な返しですが、それはこの女性が「自分は相手をきちんと選り好みする」という自尊心があるということ。

私も「誰でも」は嫌ですから、相手を選びます。金銭を要求して妥協することすら嫌です。

そういう意味では、私にとって性行為は「タダより高いものはない」ものです。

 

あと「性行為が好きではないからこそ誰とでもやれる」というのもよく聞く話です。

 

そして、「性欲につけた値段」では男性側の解説も納得いきました。

セレブの男は、高級コールガールを読んだり、モデルやタレントの女お金で買おうとするが、それも自分の性欲につけた値段と思えばわかりやすい。彼らは、付加価値のある女にしか欲情しない(と自分に言い聞かすことで、自分の性欲がただの男の性欲とは違う高級なものであることを自分(と他の男)に証明しようとする。

(中略)

男のサクセスの指標は「美人妻」だといわれるが、もっと正確に言えば、「金のかかる女」がそうだ。

(中略)

だからこそ、セレブ妻は、エステやファッションなど、自分磨きに余念がない。それは夫の地位の指標だからだ。そうやって彼女は自分が夫にふさわしい女であることを証明しようとするが、そのことによって夫に価値を与えているのは彼女自身である。

 

 

 

グロテスクと私

中高女子校で過ごし、女らしさと言う抑圧や男性の視点・世にはびこるミソジニーや搾取から無縁の生活を送っていた私が、大学に入りアルバイトを始めた途端「若い女のくせにのはっきり物を言いやがって」「ブスのくせに」と洗礼を受け混乱していた時に読んだものだからさぁ大変。

女の子にとって、外見は他人をかなり圧倒できることなのですよ。どんなに頭がよかろうと、才能があろうと、そんなものは目に見えやしません。外見が優れている女の子には、頭脳や才能など絶対にかないっこないのです。

こういう容赦ない現実を突きつけられ続け、半年読み返し一年引きずりました。(実際は外見も内面も学力も全て磨き続けて「女としての幸せ」も掴め、という圧力がかかるのでもっと過酷でした)

未だブスとバカには人権が与えられない世界…(ぶっこわしていきたいですけどね)