きた みた よんだ

みたりよんだりしたものを記録するブログ

【小説】だから荒野

幸福な家庭はどれも似たものだが、不幸な家庭はいずれもそれぞれに不幸なものである。

これは「アンナ・カレーニナ」の冒頭ですが。

不幸な家庭のお話。不幸な家庭になるっていうのも、幸福な家庭になるのと同じ位ワンパターンです実は。

この小説読んだら「幸せな家庭は、この家族と逆のことを心がけて毎日過ごせばいいんだな」とわかります。

 

今赤子を育てているので、この家族のような感じになってしまったら辛いだろうというのがビシバシ伝わってきました。

今は、夜中に赤子に授乳するために起き、寝不足や腰・膝を痛めながら世話してるんですが、それでも超可愛いし、その可愛さを周りと共有できてるからすごく充実してて幸せ。

こちらが構ったらにっこり笑う、まさに天使!そんな子が、口を開いたら「うぜー死ね」と言ってくるネットゲーム中毒になったら…想像するだけで泣けてくる。虚しさで。

 

桐野夏生先生はフェミニズムに触れるきっかけを作ってくれた人で、「こーゆーのって不条理なんだ、不当な扱いをされているんだ」って怒っていいんだということを教えてくれた人です。

桐野夏生先生の描く主人公は大体怒っている。でもその怒りに気づいていない。溜め込んだ怒りはある日パチンと弾け、そのはずみで日常から飛び出す。ふらふらウロウロして危なっかしいけど歩いてよろけてこけて…その先には案外希望が待っている。それが清々しくて、生きる活力をもらえます。

 

だから荒野 (文春文庫)

だから荒野 (文春文庫)

 

 

 

【絵本】谷川俊太郎原作「これはのみのぴこ」「つくる」

今育休中なので、毎日図書館に通って絵本を借りて赤子に読み聞かせをしています。

生後二ヶ月でも本を見て喜ぶのが本当にすごい。今のところ「こぐまちゃんシリーズ」が鉄板。こぐま社と福音館書店を押さえておけば間違いない。

最初は「絵本なんて全然読んだことないし興味ないから、良し悪しなんてわかんないよ」と投げやりでしたが、いくつもみてると違いがすぐわかるようになってきたのも面白いところ。

今回紹介する二冊は「こいつは…やべえぜ!」と衝撃を受けた絵本です。

 

「これはのみのぴこ」

 

これはのみのぴこ

これはのみのぴこ

 

 「これはのみのぴこ」からはじまり、ページをめくると「これはのみのぴこのすんでいるねこのごえもん」、またページをめくると「これはのみのぴこのすんでいるねこのごえもんのしっぽんずけたあきらくん」というように展開していく構成。

この世界の広がり方に大きな感動を覚えましたよ。

はっきりとした可愛らしい絵は和田誠さん。豪華すぎる絵本だ。

 

「つくる」

「つちでなにつくる」「つちでへびつくる」

「へびでなにつくる」「へびでつぼつくる」

というように、何かから何かを作る描写が繰り返される構成。

何かが何かを作る、それを淡々と繰り返すのですが、ラストの衝撃たるや。1931年生まれの谷川俊太郎さんだからこそできる、「作ったものを破壊しつくす」もの。絵の力も強烈。こいつはロックだぜ。

 

つくる(五感のえほん2)

つくる(五感のえほん2)

 

 

 

余談

初めて読んだ谷川俊太郎さんの詩集は「夜中に台所でぼくはきみに話しかけたかった」

初めて読んだ時日本語の詩でこんなに攻撃的でかっこいいものがあるなんて!と興奮したものです。

ヘドのにおいにヘドを吐くのは
うちに帰ってからだ
これは偽善よりたちが悪いな

 

夜中に台所でぼくはきみに話しかけたかった

夜中に台所でぼくはきみに話しかけたかった

 

 



【漫画】日出処の天子

毛人のバカっっっっっ!!

はい、感想以上です

…というのもなんなので。

 

六年前くらいに初めて読んだ時は手痛い失恋をした時で、厩戸王子と毛人の決別シーンのインパクトに号泣してたのと、フィクションでもあまり馴染みがない時代設定&沢山の登場人物のせいできちんと理解できてなかった。

今読むと毛人が王子を拒否する理由が「男だから」だけで、それ以外の理由が本気でない!皆無!

…そのせいで「毛人のバカっっっっっ!!」に感想が集約されてしまいます。

べつに布都姫娶りつつ王子と組んで世界を手に入れたっていいじゃん…なんだよ毛人…布都姫の魅力がわかんないしさ…変な髪型だしさぁ…(布都姫に関しては「なんであいつが王子に勝っちゃったのかわからない」という感想が沢山山岸先生に寄せられたらしく、それに関しては「私の力不足です、当時男女の恋愛にほんとうに興味なくて」と、先生は答えていました)

 

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文庫版最終巻あたりは「うるせえガタガタぬかすな!毛人おまえ王子のこと超好きじゃん?!ずっと好きじゃん!?なんでポッと出の美人なだけの女がいいわけ!?王子可哀想じゃん!?なにやってんの!?」と悪態をつかないと読み進められない!

 

強くて美しくてプライド高くて超能力まで持っちゃってる王子、最初は自らの手を汚すことなく動いてるのに、毛人への恋に自覚的になるにつれてどんどん俗っぽくなっていくのが悲しい。

汚い格好して噂を流したり、布都姫を殺す時は変装して刃物で直接手を下そうとしてますからね。

あと王子の母親である間人媛がひどい。本当にひどい。自分好みの子供ばかり贔屓して、気に入ってない子供のことは無視。

兄弟を持つ親がやっちゃいけないことばっかりやってる。厩戸王子に対して冷たくしすぎ。そりゃ王子もツンケンして強がらなきゃやってけないよ。

 

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あと刀自古と大姫の「実は王子と全然寝たことないんだけど」「マジでー?!私もー!あいつなんなの!?」みたいなぶっちゃけガールズトークとか、刀自古と王子の「毛人美人に弱すぎない?」「っていうか優柔不断じゃない?」みたいな恋愛トーク聞いてみたい

連帯できたら彼女らは辛い人生を送らずに済んだだろうに…

 

余談:山岸先生初心者の連れ合いに読んでもらうには?

あまりに名作すぎるので、忙しい連れ合いに「頼むから読んでよぉぉぉぉ」と泣きついたら「じゃあトイレに置いておいて。読むから」と言われて小躍りしてたのですが、「いやまてよ、山岸先生初心者に、いきなり日出処の天子はキツイか…?入りやすいテレプシコーラから読んでもらって、山岸先生のタッチに慣れてもらってからの方がいいか…?しかし作品としての完成度は日出処の天子、どうすれば…答えが出ない!!

…という理由で、ツイッターでアンケートをとらせていただきました。

最初は100%日出処の天子だったのですが、テレプシが徐々に追い上げて思っていた以上の接戦に。制したのは日出処の天子!流石です王子!

面白かったのが、テレプシに関しては「作品の完成度は日出処の天子だけど、読みやすさや入りやすさを重視してテレプシコーラを推します」という説明をしてくださる方が多かったのに対し、日出処の天子を入れた方の説明がほとんど無かったこと。「いいから読め!名作中の名作だから!」ということでしょうか。わかるぅ〜。

「長さ的にアラベスク」というご意見もあったので、アラベスクも候補に入れておけばよかった。

とりあえずは日出処を読んでもらい、入り込めたら最後まで・難しそうだったらテレプシで息抜きしてもらおうと思います

 

 

 

 

 

【掃除機】ブラーバ ジェット

ロボット掃除機を持っておらず、ラグや段差が少ない家なら買い!

「フローリングをとにかく床拭きしたい!」「部屋は狭めで、初めてのお掃除ロボット」という人ならブラーバジェットは買いだと思います。

長所
・小さいので小回りがきく。
・ルンバと違って基地局が不要なので、部屋のスペースを取られない。(ルンバの場合基地局まわりは個別に掃除が必要になる)
ルンバより音も小さい。
・水拭きするとフローリングが超きもちいい

欠点

・ラグの上や段差があるところは乗り越えていかないため、掃除ができない。ラグが多い場合は絶対にルンバが良い

・使い捨てパッドを使い続ける場合、ルンバより維持費がかかる。洗って繰り返し使えるパッドは別売りで有り。
・濡れたパッドは毎回外す必要あり
・毎回バッテリーを外して充電する必要あり。外しやすい設計とはいえ億劫な人には向かない。
・床拭き後、フローリングに少し水滴が残っていた。気にする人はマイナスかも。

とりあえず簡単な感想はこんな感じです。継続して使うとまた出てくるんだろうなー

出かける時にルンバとブラーバ同時に起動させると、二箇所同時に掃除ができるというのにはとても興奮しました。

ルンバを使って埃を取った後、ブラーバで水拭きをしたら完璧。

 

ルンバは旧型使ってます。

まだまだ現役。ルンバはお手入れはたまーにすればいいのが楽。

 

【国内正規品】 iRobot ロボット掃除機 ルンバ 622 ホワイト

【国内正規品】 iRobot ロボット掃除機 ルンバ 622 ホワイト

 

 

使い捨てパッドは高いので、洗って繰り返し使えるパッドを別途購入。

公式の製品は接続部と離さないけど、この製品だとマジックテープ式なのでパッドだけ洗うことができて良いです

【児童文学】兎の眼

パンクロック児童文学

連れ合いイチオシの児童文学。
図書館で予約して借りてみたら昭和55年発行限定500部・埼玉福祉会発行・一冊4500円のやたら大きいやつだった。文字が非常に大きいので、これ読んだ後だとスマホの文字がえらく小さく感じる。

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タイトルの「兎の眼」は善財童子のこと。画像検索して見てから連れ合いとモノマネする鉄板ネタになりました。これが好きな小谷先生22歳、趣味がしぶい。

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言葉を持てば生きやすくなる

処理場に住む被差別部落地域の話で、出てくる子供達は学校に通ってはいるけど教育が身についておらず、怒るとすぐ暴力に走る(というより暴力しか表現方法がない)、嬉しいことや好きなことを人に伝える術がない、という描写が前半には良く出てくる。

日大アメフト部の会見を見てても思ったけど、語彙の少なさというのは人生において致命傷になるな、と最近痛感しているので、その描写の説得力は強い。
語彙がないと自分の気持ちを正確に掴むことがまずできないから、人に伝えることができない。
そうなると必ず誤解が生まれ、不必要な心労が過剰に発生し、気持ちを圧迫する。

教育はあらゆる意味で人を救う。水素水に騙されないとか、無駄に命を奪わないとか。

 

所属=服従、ではない

処理場の人によるストライキも提案される。ストライキについて「労働者のストライキする権利を持っている」とはっきりと言っているのが印象的だった。ストライキの意味をきちんと知ってる人の方が今は少ないだろうからなー。

 

ガンジーの「不服従」に倣った行動も色々。ハンストする先生なんて今、創作ですら出てこないでしょう。

 

まだ戦争の色が濃い

「死んだ人の命を食って生きている」

「先生のお兄ちゃんは泥棒が平気やった。何回も何回も泥棒したんやな。姉妹が7人もいたからつばめがえし何回も何回も泥棒したんやな。」

「お巡りさんに捕まらへんかったんか」「捕まったで。何回も捕まった。けど、何回も泥棒をした。先生のお兄ちゃんはとうとう少年院に送られることになってしまった」「その日、先生のお兄ちゃんは死んだ」中略「泥棒して平気な人間はおらんわいな。先生は一生後悔するような勘違いをしとったんや。先生はお兄ちゃんの命を食べとったんや。先生はお兄ちゃんの命を食べて大きくなったんや」「先生だけやない。今の人は皆人間の命を食べて生きている。戦争で死んだ人の命を食べて生きている。戦争に反対して殺された人の命を食べて生きている。平気で命を食べている人がいる。」

 

灰谷健次郎を読ませたがらないのが日本の小学校のようだけど(服従を教育する機関が不服従の文学なんか読ませないわな)今の教員で読ませる読ませないの判断自体ができる人の方が少なくなっちゃってるんじゃないだろうか。

灰谷健次郎が生きていたら、今の日本を見て何と言うのだろう。多分絶望して泣いてしまうだろうな。

 

とか思ってたら、ちょうど新潮45がやらかしてましたね、LGBTには生産性がないという記事を掲載して。

「新潮45」が杉田水脈氏擁護の特集を掲載 新潮社内から異論 - 産経ニュース

少年Aの写真を掲載した雑誌を発行したのをみて激怒して著作物を全て引き揚げた灰谷健次郎さんは強い倫理観を持った人だったんだなぁ…

 

ほんとパンクロック。

 

兎の眼 (角川文庫)

兎の眼 (角川文庫)

 

 

余談ですが、灰谷健次郎さんが色々な人と対談した「われらいのちの旅人なり」を読んだら「私は二回結婚してて、2人とも服毒自殺してるんです」と言ってて「どうしてそうなった」と戦慄しました。2人ともっていうのはおかしいだろどう考えても。

 

われらいのちの旅人たり

われらいのちの旅人たり

 

 

 

【JPOP】世界に1つだけの花

世界に1つだけの花が小学校道徳の教科書に載ったらしいですね。この曲の歌詞について、連れ合いが熱く語っていたので覚書。

 

ナンバーワンにならなくてもいいもともと特別なオンリーワン

このフレーズが道徳の教科書に選ばれた理由でしょうが、これすごく誤解されがち。というか私はこの曲の歌詞が大嫌いでした。

しかしこの歌詞をそのまま受け取ってはいけません!!! 

 

なぜ歌詞をそのまま受け取ってはいけないか

それは槙原紀之さんの「Turtle Wark」の歌詞に根拠があります。

Turtle Walk

Turtle Walk

手にした一番より僕が欲しかったのは諦めなかったという強い気持ちだと気づいたから

すでにナンバーワンは獲得した上で、「そんないいもんじゃないですよ」と言っているのです!

あと「すでにナンバーワンであるSMAPが歌うことに価値がある」と言うコメントもあるそうです。ナンバーワンになる難しさとオンリーワンになるさらなる難しさを知っている人の考えですね。

 

それについては作家・樋口毅宏さんも、小説「愛される資格」の中で言及されています。

 

ちなみにこの曲は超定番曲「どんなときも。」のアンサーソングでもあります。

どんなときも。

どんなときも。

僕の背中は自分が思うように正直かい?

という歌い出しの「どんなときも。」に対応するように

うしろから君が見たときに僕の背中だとわかるように

と、「Turtle Walk」は始まります。

 

花は花屋で並ぶものだけではない

花屋の店先に並んだ色んな花を見ていた

人それぞれ好みはあるけどどれもみんなきれいだね

 「花屋の店先に並べている時点でバッチリ選別されてるじゃないか! 」という意見だったのですが、その後の歌詞

名前も知らなかったけれど
あの日僕に笑顔をくれた
誰も気づかないような場所で
咲いてた花のように

で、花屋の店先に並ばない花のことにも言及されています。

 

降ってきたという名曲の歌詞

もはやド定番曲となった「世界に1つだけの花」「どんなときも。」の歌詞は「降ってきた」とコメントされていました。

「世界に1つだけの花」は紙芝居を見るかのように場面が見えたとのこと。

マッキーは初々しいラブソングを歌っていた第1章・生活を歌った第2章「ライフソング」を経て、第3章に突入すると宣言。

「ライフソングは突き詰めるとラブソングになる。恋愛だけではなく、もっと大きな意味での愛」

長い動画ですが、マッキーいいことしか言ってないので色んな人に観てほしいです。あとマッキーは話し方が超可愛い。好き。

この動画はアルバム「believer」のプロモーションのものです。このアルバムに収録されている「テレビでも見ようよ」はライフソングの一つの到達点ではないかと思えるほどの名曲です。ただし、聴くと必ず泣くのでなかなか聴けない。

テレビでも見ようよ

テレビでも見ようよ

どんな思い出もいつか一人で

懐かしむ日が来るなら

ここに来て隣に座って

一緒にテレビでも見ようよ

連れ合いに先立たれるケースも連れ合いを置いて死ぬケースも想像して滂沱の涙。

ヤダ〜どっちもヤダ〜同時に死ぬ!!!

 

余談・お蔵入りになった名曲「Wow!」

SMAPに楽曲を提供する話が持ち上がった時、最初の候補がこの曲であった。後にSMAP側の要望によって一旦お蔵入りとなり、その後生まれたのが「世界に一つだけの花」である。

https://ja.m.wikipedia.org/wiki/Wow_(槇原敬之の曲)

「世界に1つだけの花」に言及するなら、ついでに「Wow!」にも触れておきたい。

この名曲をお蔵入り…だと…!?と驚愕したものです。タイミング的に木村拓哉さんのお子さんが生まれた時でしょうか。

私はちょうど出産するときにこの曲を聴いていました。産まれてお腹に子供を置かれた時、まさに「Wow!!」だったのですが、「ワァォ!!」というより「わぁぉ…」という感じでした。正直引いた。産まれて40日経ちましたが、未だに「これがお腹に入ってたとか嘘でしょ…」と受け入れられずにいます。産んだけど。

 

Wow

Wow

 

 名盤中の名盤。

 

【音楽】マッキー(槇原敬之)とオザケン(小沢健二)

槇原敬之さん(連れ合いが死ぬほど好き)小沢健二さん(私が愛憎入り混じる感じで愛している)のライブにそれぞれ行ってきたので覚書。

 

なんとも対照的なライブ、楽曲。

槇原敬之さんは本人が言うところの「ライフソング」を多く発表しているし(ゴボウをささがきにして〜なんて歌ってるのはこの人以外いないだろう)、小沢健二さんは昔「LIFE」というタイトルのアルバムを出している。活躍した時期もかなり被ってるし、二人とも「人生、生活」を歌ってるのに、あまりに違いすぎて笑えるほど。

 

槇原敬之さんのコンサートツアー名は「Time Traveling Tour」。その名の通り「昔の曲を聴きながら当時の気持ちになってもらおう」というコンセプト。デビュー28年にして60公演のツアーとは化け物か…

今まではアルバムを携えてのツアーのみだったから、新しいアプローチなのだそう。コンスタントにアルバム作り続けてツアーやって、化け物か…(2回目)

 

この「過去のヒット曲をやる」というアプローチは守りに入ったわけではなく、むしろ「新しいことをやる」という攻めの姿勢。2017年Believerコンサートで「これから第3期に入ります!」と宣言していたから。その時「他の人に提供した曲は、最近はセルフカバーしないようにしてるんです。才能が枯れた時のためにね!」と言ってて「この人枯れる気全然ない!!」と度肝を抜かれましたもの。

 

槇原敬之さんのコンサートは終始ほんわかしていて、おしゃべりも多くてトイレにも行きやすい親切設計。何せマッキーが「これからトイレタイムです!」と宣言してからMCを始める素晴らしさ。おしゃべりすると喉に負担がかかるからMCは極力しないというアーティストもいるというのに。

超有名な昔の曲も惜しみなく披露してくれるので、初心者にもとても優しい設計。

 

それに対し小沢健二のライブ「春の空気に虹をかけ」武道館公演は暴力的・攻撃的ですらあった。

36人編成ファンク交響楽と形容する公演、爆音でかかり続けてるよヒット曲といった具合なんだけど、だからってそこまで攻撃的か。ほぼ休みなしでアップテンポの曲を続けて演奏し続ける、けっこうな不親切設計。

観客に歌わせたり朗読させたりするシーンも多くて、それがアンセムっぽいというか、宗教的な雰囲気。

まぁ15年位恋い焦がれた相手なので、開始10秒でボロ泣きでしたけどね!

 

勝ちっ放し人生なオザケン楽曲

あとこの二人の比較で気づいたのが「小沢健二って失恋曲がパッと見つからないな?」ということ。

恋に落ちて場合によっちゃ略奪愛して、年老いた僕と君と子供と孫たち…勝ちっ放し人生!?(その最強ぶりが好きだったりするんだけど)

 

連れ合いは小沢健二さんのことを「いいこと言ってるんだけど、いちいち言い回しが鼻に付くというか高い所からありがたいお言葉ですねっていうか…」と言ってて、それは、わかりすぎるオブわかる…貴族だし元々視点が上の人だから、素で視点が上な人だからそういうもんだってところだけど…

 

でもライブに連れていったら「曲はいい。歌唱力は…」とのこと。歌唱力という点ではマッキーと比べて上手い人なんてほとんどいないよ(震え声)

あと小沢健二さんは朗読の人だから!!!

 

槇原敬之は「自分はダメだった、過ちを犯したし裏切った。謝りたい償いたい!」という後悔の念を昇華させてきたんだなって曲が多くて、小沢健二は「自分と時代があわなかった、不幸も重なって上手くいかなかったけど今ならできる」みたいな、自責の念が薄めというか、自己肯定感が元々高い感じ。

マジョリティ側とマイノリティ側の違いなのだろうか。(そう判断するのは短絡的だけど)

 

歌詞が先行公開された時 「ご飯が炊かれ麺が茹でられる永遠」ってどういうメロディになるんだ?と気になって仕方なかったけど、実際聴くとあまりの美しさに瞳孔が開きました。

日常をこんなに美しく綴れるなんて、と。

 

 

太陽

太陽

 

 覚醒剤で捕まった時、鉛筆すら持たせてもらえず頭の中だけで作ったというアルバム。ゴボウをささがきにする「濡れひよこ」も収録。

全体の完成度が高すぎて鳥肌が立つ。タイトル曲「太陽」は涙なしに聴けない。槇原敬之さん自身も思い入れが強いとのこと。でも「彗星」を「今日も誰かが下痢になって」とたまに替え歌してます。本当に申し訳ありません。