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【コミックエッセイ】キレる私をやめたい

100%正しい人も、100%間違ってる人もいないのだから、互いに考えて話し合って生きていきましょうよ

おとぎ話は結婚でハッピーエンドだけど、人生は結婚後も続きます

作者の田房永子さんは前作「母がしんどい」で、親の毒をたっぷり受けて育った後モラハラ彼氏にバカにされながらも自活する力を身につけ、本当に好きな伴侶に出会って結婚したという話を描写していました。まさにハッピーエンド!素晴らしい!…で終わるわけはなかった!

 

「あなたはおかしい!正しいのは私!」と言われ続けると、そう言わない相手にも「私が完全に悪い」という態度になってしまう

田房さんは母親にもモラハラ元彼にも「お前はダメだ、おかしい」と言われ続け、迷いながらも自分の道を見つけて独り立ちした方(それは本当に素晴らしい!)

でも、後遺症はしっかり残っていて、大好きな伴侶との生活にも支障が出ていた…というのが今作「キレる私をやめたい」です。

 

伴侶の言動に対して必要以上に怒りを感じてしまい、うまく思考ができなくなり言葉にできず相手を殴ってしまう…これ、恥ずかしながら私も前の結婚生活で経験があります。

なぜ殴ってしまうかというと「自分がダメダメだから悪い」「でも相手のことがすごくムカつく」が混在して、納得できておらず、相手に対する攻撃が直接的になるから。

 

自分はダメダメで相手は完璧、と言う図式を解消しないと相手もつらい

お前はダメだクズだと言われ続けると、「私はダメだクズだ」と内面化します。若い頃は特に、素直に受け取ってしまうもの。

そして内面化した「自分はダメでクズ」は、出会う人に対しては「あなたは私と比較して素晴らしい、完璧だ」に転換しがち。そう転換しないと「自分はダメでクズ」は成り立たなくなるからです。

 

神格化された方も辛い、完璧に振る舞わないといけないから

この本を読んでいてなによりも思いを馳せたのは「私はできないけどあなたはできる、完璧、素晴らしい」と思われることのプレッシャーです。

求められれば応えたくなります、好きな人相手なら当然です。

田房さんの場合は「片付けられないダメダメな自分」と「片付けられる完璧な伴侶」という片に互いをはめ込んでいた過去が象徴的でした。

だからこそ、田房さんが「お互い歩み寄っていこうよ」と言い、伴侶が「自分もダメなんだな〜」と話し合うシーンでは涙がこぼれました。

今の結婚生活では私も似た感じで「片付けられる連れ合い」を神格化しがちなので、気をつけます…。

 

前作「母がしんどい」の感想はこちら